今回の滞在を振り返ってみると、買い付けとか商談と同じくらい、アーティストとの交流の機会があった気がします。
現地での芸術家との出会いのほとんどは偶然のことでしたが、ウィリー・ベスターさんとは縁あって日本出国前から連絡をとっていました。
ベスターさんは、南アフリカを代表する現代アーティストです。金属製品の廃物でコラージュ作品を作ります。
ウィリー・ベスターさん
ケープタウンでは幸運なことにベスター邸に招かれたのですが、この家そのものがまさにアートでした。
芸術家のお宅拝見となると、2009年にセネガルの画家スレイマン・ケイタさん(2014年にお亡くなりになりました)のご自宅に伺って以来です。あの時も「深みのある美しい作品が四方の壁に飾られたケイタさんの部屋、ダカールの美術館より立派!」と感じたものです。作品は絵画が中心でした。
一方、ベスターさんは絵も描かれますが、インスタレーションがメインなので、まったく趣は違います。しかも、ベスターさんは部屋に作品を飾っているだけではないのです。
ゲートからこうです。
家の外観。
庭もこんな感じ。
郵便受け!?
主に使用済みの素材を使うという点では、前回にご登場いただいたヒース・ナッシュさんと共通してます。ただしナッシュさんはプラスチックでしたが、ベスターさんは鉄です。
家の中も撮らせていただきました。
鳥山明の漫画に出てきそう?
靴はよく見ると鉄製です。絵はズマ大統領ですね。
スチームパンク風?
このドアは開きます。
ベスターさんはアパルトヘイト(人種隔離政策)時代の遺物も収集して、作品に使用しています。
アフリカーンス語と英語で「白人専用」
著名なベスターさんですが、「気難しい芸術家」ということはまったくなく、とても親切な方でした。
南アに新しい美術館ができるそうで、ベスターさんはそのための出品準備で多忙にも関わらず、車で私を宿まで送ってくださったほどです。
Thank you very much, Mr. Bester!
★ウィリー・ベスターさんの公式サイト
http://www.williebester.co.za/
ケープタウンでは、長年SNSで連絡を取り合っていたジンバブエ人Cさんとその家族に再会することも目的のひとつでした。
Cさん一家と
最後にCさんとお会いしたのは、十数年前のジンバブエです。その頃、ジンバブエは経済危機があり、最悪の時期でした。
その後にCさん一家は親戚を頼って南アに移住。現在、Cさんは商業デザイナーとして、奥さまは教師として働いてます。
ジンバブエ時代は赤ちゃんだった娘さんも、大きくなりました。
息子さんは絵を描くことが好きで、ネットで見つけた日本の漫画キャラ?を模写してました。
「MANGAは知ってるけど、読んだことはない」とのこと
なお、ンデベレ語で「マンガ」は「うそ」という意味だそうです。当たらずとも遠からず?
宿にいた猫ちゃん。
南アは隣国とはいえ、Cさん夫妻も移住当初はいろいろと大変だったそうです。ただ、Cさんの母語のンデベレ語と、南アで多く話されるズールー語やコサ語は似ているそうで、言語の苦労はそれほどでもなかったとのこと。
また、「ジンバブエ人は、まじめでよく働く」という評判があるので仕事の上では有利だけど、やっぱり白人に警戒されることもあるそうです。
アパルトヘイトの名残りのようなものはまだあって、たとえば電車内でも、乗客は自然と肌の色ごとに座ってしまうとか。白人は白人の隣、といったふうに。あくまでCさん個人の感想ですが、心理的にそういうことはあるかもしれませんね。
Cさんに会いに行くとき、複数の人に「電車で友人宅へ行こうと思うが、安全かしら」と訊くと、「一等車なら大丈夫」とのこと。
ところが、そのことをCさんに伝えたら、「危ないから絶対ダメ!オレが車で迎えに行くから!」と言われました。
次回にも触れますが、治安については人それぞれに感じ方が違うようです。
宿で「マキロール(巻き寿司)」作りました。
次回(最終回)は舞台をヨハネスブルグへと移します!
梅田洋品店の梅田昌恵です。アフリカ諸国へユニークな布や雑貨を買い付けに行き、南青山の小さなアトリエでオリジナルのファッションアイテムに仕立てています。このブログではアフリカのこと、作品のこと、イベントやオンラインショップからのお知らせなどを綴ります。