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2015年02月28日(土) 18:12 | アフリカ, アフリカルチャー, 月報 

2015年2月に気になった4つのアフリカ関連ニュース

【9年前の投稿】

仕事がら、というわけでもないんですが、アフリカのニュースは気になります。

それでなんとなく、その都度メモをして、毎月末にブログにまとめておこうと思い立ちました。

2015年2月に気になった、4つのアフリカ関連のニュースです。

1. アンジェリーク・キジョー、二度目のグラミー賞受賞

ベナン出身の歌手アンジェリーク・キジョーさん、アルバム『EVE(イヴ)』が第57回グラミー賞「ワールド・ミュージック部門」受賞です。

黒柳徹子さんと同じくユニセフ親善大使。トークも徹子さん並の才能?

衣装もゴールドのラメとネックレスが揃っていてステキです(BGMのせいで、なんだかウディ・アレンの映画っぽくなってますが…)。受賞時は華麗に踊りながら登場、「このアルバムをアフリカの女性たちに捧げます」。

ボブ・マーリーのカバーも圧巻。

今回の「ワールド・ミュージック部門」にはセルジオ・メンデス(「マシュ・ケ・ナダ」の人)、アヌーシュカ・シャンカール(ノラ・ジョーンズの妹)、トゥマニ・ジャバテ(コラ奏者)もノミネートされてたんですね。

せっかくですから、トゥマニ・ジャバテの美しい演奏もご堪能ください。

2. 受験生の死

暗いニュースですみません。たまたまケニアとウガンダの学生の自殺のニュースを相次いで目にしました。

ケニアの医科大学の男子学生は受験料を払えず、会場を追い出されたことで殺虫剤を飲んだそうです。ウガンダの女子学生は試験の不合格が理由のようです。

--日本がアフリカから学べることのひとつに、「アフリカ社会の自殺の少なさ」が挙げられるのではないか?

たしか白戸圭一さんの本にそういうことが書いてありました。

それもあって、こういう「アフリカらしくない」痛ましい事件はよけいにショックでした。

中国やインドでも受験戦争の害が増えてると聞きますが、経済発展すると、どうしても同じようなストレスを抱えるのでしょうか。

インドといえば、こんな記事もありました。

――インドは女性にとって危険な国ですか

日本企業の人事の方にも尋ねられることがありますが、私は「普通です」と答えています。特別、インドが危険な国ということではないと思います。

たとえば、レイプ事件が年間10万件を超える米国では、多すぎて事件が報道されることはありません。あまりにも事件への反応が鈍くて軽いのです。インドは3万4000件です。発生率では世界の中では普通になります。最も危険とされるデリーでも、レイプ事件発生件数はニューヨークには及びません。

ケニアやウガンダも、まだ受験を苦にした自殺が珍しいこそ、ニュースになるのでしょうか。

3. サッカー・アフリカ杯

1月から2月にかけて、赤道ギニアで「アフリカ・ネイションズ・カップ」が開催されてました。アフリカ・サッカー連盟加盟国の大会です。

決勝はコートジボワールがガーナにPKで勝ち、優勝しました。コートジボワールと日本とは、昨年のワールドカップの初戦で戦いましたね(逆転されて日本の負け…)。

コートジボワールは、背の高いヤヤ・トゥーレ選手がすごいです。というか、4年連続でアフリカ年間最優秀選手です。

この映像を見て、「ヤヤさんのシュートは素晴らしいなぁ」と思いながら、同時に「アナウンサーは興奮しすぎ」「芝生とか、広告とか、ヨーロッパのスタジアムみたい」と感じました。

ちょっとかわいそうなのが、不参加のモロッコです。もともとは開催国だったのですが、エボラの流行を恐れて…。アフリカ・サッカー連盟から、なかなかきびしい罰を受けました。

スポーツ仲裁裁判所(CAS)は17日、モロッコ・サッカー協会が今年のアフリカ選手権の開催を断念したためにアフリカ・サッカー連盟(CAF)から科された罰金などの処分取り消しを求めた提訴を受理したと発表した。
 CAFはエボラ出血熱の感染拡大を懸念したモロッコの開催延期要請を認めずに出場権を剥奪。2017、19年両大会の出場停止、罰金100万ドル(約1億1900万円)の処分を科し、CAFや関係各所への賠償金805万ユーロ(約10億9400万円)の支払いも求めた。

次回大会(2017年)の開催地は未確定のようです。こんな報道もありました。

決勝前日の7日、現地を訪れたFIFAのブラッター会長がメディア批判を繰り広げた。「いい話はニュースにならず悪い話がニュースになる。アフリカの悪い面ばかり書きたてられる」。アフリカ連盟(CAF)のハヤトウ会長も「欧州で何かあるとミスで済まされるが、ここでは腐敗だと言われる」と追随した。しかし、ただの逆ギレとしか思えないほど今大会はトラブルが続出した。
・・・(略)・・・
一連の問題の対処ではCAFの強権的体質が目立つ。FIFA副会長でもあるハヤトウ会長は絶大な権力でトップの座に27年間君臨。収賄容疑の噂も絶えず、欧州メディアから批判されている。19年アフリカ選手権は同会長の母国カメルーンで開催。自ら開催地を決めたとの声がもっぱらだ。

27年間も会長が同じ人なんですね。

4. 曽野綾子さんのコラム

作家の曽野綾子さんが産経新聞に、黒人を蔑視し、アパルトヘイトに賛成しているように読める記事を書いたので、ネットでは「ネトウヨもドン引き!」なんて報じられました。ご本人へのインタビューによれば「差別ではなく能力の区別」だそうです。

テレビや雑誌や他紙がこの件をどう報じてるのかまったく知りませんが、ネットではNPO、学生有志、南ア大使の抗議文をはじめ、いろいろな記事に接することができました。

とりわけ、人類学者の亀井伸孝さんの論文は印象的でした。

・曽野綾子氏の産経新聞コラムには、第一の誤謬「人種主義」と、第二の誤謬「文化による隔離」の二つの問題点がある。
・現状において、より危険なのは、第二の誤謬の方である。
・文化人類学は、かつて南アフリカのアパルトヘイト成立に加担した過去がある。
・アパルトヘイト体制下で、黒人の母語使用を奨励する隔離教育が行われたこともある。
・「同化」を強要しないスタンスが、「隔離」という別の差別を生む温床になってきた。
・「異なりつつも、確かにつながり続ける社会」を展望したい。そのために変わるべきは、主流社会の側である。

少数者は主流社会と「同化」しても地獄、「隔離」されても地獄。

それならば解決は?

主流社会側が、少数者の文化をしって、つながる努力をすること。

たとえば、ろう者以外の人も手話を学べるように、自治体が環境整備する。

県は、市町村その他の関係機関と連携して、ろう者が日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去について必要かつ合理的な配慮を行い、手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備を推進するものとする。

渋谷区などでは、同性カップルが生活上で不利にならない工夫(「結婚に相当する関係」の証明書の発行)も提案されてますよね。

亀井先生のツイッターは以前からよくチェックしてました。

このご著書は気になります。

以上、2月の気になったニュースでした

日本ではエボラ出血熱やテロ関係(ボコ・ハラムなど)の報道を目にする機会が多いですが、それ以外で個人的に気になった今月のアフリカ関連ニュースでした。

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梅田洋品店の梅田昌恵です。アフリカ諸国へユニークな布や雑貨を買い付けに行き、南青山の小さなアトリエでオリジナルのファッションアイテムに仕立てています。このブログではアフリカのこと、作品のこと、イベントやオンラインショップからのお知らせなどを綴ります。

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