ブログと店舗の移転(2012年)以前の記事です。画像が表示されなかったり、情報が古い場合があります。アフリカで撮った写真は、近いうちに別ページにてまとめるつもりです。
少し前に、ウスマン・センベーヌ監督の最新作を岩波ホールで観てきました。
『母たちの村』。
FGM(女性性器切除)という村の伝統と闘う女性が主役の映画です。
ウスマン・センベーヌ監督(セネガルでは日本とおなじように苗字・名前の順で呼ぶそうですので、 「センベーヌ・ウスマン」と表記するのが正しいかもしれません)は83歳です。センベーヌ監督はもともと小説家だったけれど、母親が文字を読めないので、地元ウォロフ語で映画を作ることを30代のころ決心したという方です。
さて、映画ではFGMの問題とともに、家父長的な威張った長老たちが、女性たちの楽しみでもあったラジオを取り上げて燃やしてしまうという場面があります。
伝統批判につながる外からの余計な知識は要らない、ということです。テレビも禁止されます。
もちろん、そのような長老たちの行いを、映画は批判的に描きます。
私は逆に、時たま素朴に、テレビやラジオがない社会のほうが実は健全なのではないか、などと思うこともありますが、やはりないよりあったほうがいいですね。
テレビやラジオがいつも真実を語るわけでもなく、というよりテレビの報道が「真実」を作り上げてしまうということがあり(たとえばアフリカの偏ったイメージ)、そこが難しいところですが、そこにさえ気をつければ、外部の意見を知ることができるというのは素晴らしいことです。
たとえばFGMについては、部外者が何か言うべきではない、積極的に廃止運動するべきではない、せいぜい清潔な刃物を渡そう、などの意見もあります。
いずれにせよ、様々な意見を知る機会というのはどんな社会にも必要だと思うのです。
同じ女性としてFGMの場面は身体中が痛くなるものでしたが、映画の中で唯一の救いは、衣装が素敵だったこと。
大きな石や、電球玉のネックレスでおしゃれして出かける女の人たち。
袖がギャザーになっている「第一婦人」のワンピースがかわいいと思いました。
梅田洋品店の梅田昌恵です。アフリカ諸国へユニークな布や雑貨を買い付けに行き、南青山の小さなアトリエでオリジナルのファッションアイテムに仕立てています。このブログではアフリカのこと、作品のこと、イベントやオンラインショップからのお知らせなどを綴ります。